投資環境
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投資環境
2025年のビジネス環境
世界銀行と国際金融公社(IFC)が発表する「Doing Business(ビジネス環境の現状)」をもとにして世界からのタイへの評価を見ることができるが、「Doing Business」ランキングの最新の正式な発表は2020年版までとなっております。2021年以降のランキングは、データの不正確さや不正行為に関する問題が発覚したため、世界銀行によって中止されました。
2020年の「Doing Business」ランキングにおいて、タイは世界全体で21位にランクインしました。このランキングは、ビジネスのしやすさを評価するための10の主要な指標に基づいています。タイの各指標での評価は以下の通りです。各評価ポイントは以下であり、ビジネス環境の多くの側面で良好な評価を受けており、投資家にとって魅力的な市場とされています。
1. 企業設立
タイは企業設立の手続きが比較的迅速であり、オンラインの申請システムが整備されています。これにより、新規企業が市場に参入しやすい環境が整っています。
2. 建設許可の取得
建設許可の取得に関する手続きは効率的で、地方自治体による規制が明確化されています。これにより、建設関連のプロジェクトがスムーズに進行することが可能です。
3. 電力供給の確保
電力供給は安定しており、企業が容易に電力を利用できる環境が整っています。再生可能エネルギーの導入も進められており、持続可能なエネルギー利用が促進されています。
4. 財産登録
不動産登記のプロセスは効率化され、短期間で完了することが可能です。政府はこの手続きの透明性を高めるため、デジタル化を推進しています。
5. 融資の取得
金融市場が成熟しており、企業は多様な融資オプションを利用できます。中小企業向けの融資支援が充実しており、金融アクセスの向上が図られています。
6. 投資家保護
タイは投資家保護の枠組みを強化しており、企業の透明性や情報開示の義務が厳格化されています。これにより、投資家は安心して資本を投入することができます。
7. 税金の支払い
税制は競争力があり、企業にとって有利な税率が提供されています。税務手続きはオンラインで行うことができ、手続きの簡素化が進められています。
8 国際貿易
国際貿易においては、自由貿易協定を活用し、通関手続きの効率化が進められています。これにより、輸出入にかかる時間とコストが削減されています。
9. 契約の履行
契約履行に関する法制度が整備されており、司法の独立性と効率性が企業間の紛争解決を円滑に進めます。
10. 破産処理
破産法は企業の再建を支援するように設計され、企業は効率的に再編成を行うことができます。透明性と迅速さが投資家にとって安心材料となっています。
日系製造業企業の海外事業展開の動向
国際協力銀行(JBIC)が発表した2024年版「わが国企業の海外事業展開に関する調査報告(第36回)」の調査結果は、日本の製造業企業が直面する海外事業展開の現況と課題、今後の展望を明らかにしています。この調査は936社を対象に行われ、495社から有効回答を得ており、地政学的リスクや米中対立への対応、サプライチェーン再編が企業戦略の重要な課題として浮上しています。
有望な事業展開先国の変遷
2024年度(第36回)の調査結果によれば、インドが4年連続で首位(得票率58.7%)を維持し、2位にベトナム(31.3%)、3位に米国(26.2%)、4位にインドネシア(25.4%)、5位にタイ(18.8%)が続いています。中国は3位から6位(17.4%)に大幅順位を落とし、脱中国の動きが鮮明になっています。地政学的リスクと供給チェーン戦略の再考
米中対立の長期化、ロシアのウクライナ侵攻、そして中国経済の減速が、企業の海外事業展開に大きな影響を及ぼしています。これを受けて、多くの企業が中国依存を見直し、供給チェーン戦略の再考を進めていることが明らかになりました。国内投資の強化、地政学的リスクの高まりを背景に、企業は国内投資を強化し、リスク分散と国内生産の強化を図っています。これにより、国内市場における競争力を高めることが期待されています。
タイにおける展開と評価
タイは依然として東南アジアの製造業拠点として重要な位置を占めており、自動車産業や電子部品製造など、多くの日本企業が拠点を置いています。安定した政治環境と比較的安価な労働力により、製造業にとって魅力的な投資先となっています。しかし、労働力の質の向上やインフラのさらなる整備が課題として認識されています。地政学的リスクの中で、タイは供給チェーンの再編における重要な拠点として位置付けられています。
ただし、リスク分散傾向の潮流の中で、他のアジアの新興国にも事業展開の目が向けられた結果、日本の製造業企業のタイ以外の国への投資を誘引してはおり、得票率は 2013 年以降低下に転じているものの、タイの投資先としての魅力は依然として高いと考えることができます。
■ 直接金融(株式)市場
タイ証券取引所(SET)は、タイ唯一の証券取引所で、バンコクのクローントゥーイ区にあります。タイ国証券取引法(SEA:The Securities and Exchange Act of 1992)に基づき、1974 年に設立されました。
市場としては、東証一部に該当する「メインボード」とマザーズに該当する「オルタナティブ投資市場(MAI:Market for Alternative Investment)」があり、MAI を含むSETへの上場企業数は2025年時点で、合計858社です。
次のグラフは、近年のSET INDEXの推移です。SET INDEXとは、メインボードに上場する全銘柄が対象の時価総額加重平均型株価指数で、1975 年4 月30 日の指数を100 として新規上場および上場廃止をそのつど調整し算出されます。
2015年から2019年は安定した成長期として、タイ経済は成長を示し、SETも堅調な動きを維持しました。観光業や製造業の成長が市場を支え、外国直接投資(FDI)の増加も見られました。しかし、政治的不安定さが時折市場に影響を与えることがあり、投資家の心理に微妙な変化をもたらしました。
2020年から2021年のコロナウイルスの影響により、タイの経済とSETに深刻な影響を与えま。特に観光業が大打撃を受け、製造業もサプライチェーンの混乱に直面しmSET指数は急落し、投資家心理も冷え込ました。政府の経済刺激策や金融緩和政策が導入され、2021年には徐々に回復の兆しを見せました。
回復の兆しがありましたが、2022年以降はウクライナ情勢の影響を受け、エネルギー価格の高騰や供給チェーンのさらなる混乱を引き起こし、タイのエネルギー関連株や輸出企業は大きな影響を受けました。一方で、観光業はコロナ後の回復を続け、外国人観光客の増加が業績を押し上げました。
■ 外国直接投資(FDI)
1997 年以前、バーツがUSドルにほぼ固定されていた為替市場に、海外で調達された資金が流入し、不動産バブルと言えるような環境が生じました。このような動きに、タイ政府は、1997 年7 月、バーツの変動相場制を導入しましたが、アジア通貨危機を招くことになりました。その結果、1999 年まで投資額の減少が続くこととなります。
タイ政府は、IMFおよび日本をはじめとする国際社会の支援を受け、不良債権処理など構造改革を含む経済再建に尽力し、財政政策を含む景気対策を行い、2000 年からは投資額の増加に転換します。
さらに2001 年2 月に発足したタクシン政権が、従来の輸出主導に
加えて国内需要も経済の牽引力とすることを訴え、農村や中小企業の 振興策を打ち出し(「デュアル・トラック・ポリシー」)、投資を誘引しました。安定的な政治・経済運営やFTA推進に代表される対外経済関係拡大への期待がさらなる投資を呼び込み、リーマン・ショックが起きた2008 年前半まで、順調に外国直接投資が増加していきました。タイは東南アジア諸国の中でもリーマン・ショックの影響が大きく、2008 年のFDI認可額(BOI統計)は、前年比3 割減の3,511 億バーツ(838 件)、そして2 009 年はさらに6 割減の1,420 億バーツ(614 件)となり、アジア通貨危機後の1999 年に匹敵する水準まで減少しました。しかし、世界金融危機による影響が一段落した2011年は2,784 億バーツ(904 件)まで回復し、2012 年には5,489 億バーツ(1,357 件)と倍増しましたが、その後2014 年には4,835億バーツ(912 件)と再度減少傾向にあります。
2015年以降、FDIの発行数と投資額は政治的安定や経済政策の影響を受けながら変動してきました。2015年にはFDI発行数が約1,100件、投資額は約6.7兆バーツ(約2,000億米ドル)で、これは軍事政権による政治的安定と「タイランド4.0」政策の導入がFDIの流入を促進した結果です。続く2016年にはFDI発行数が約1,200件、投資額も約6.9兆バーツ(約2,100億米ドル)に増加し、ASEAN諸国との経済連携が強化されました。
さらに2017年にはFDI発行数が約1,500件、投資額は約7.2兆バーツ(約2,200億米ドル)に達し、これは東部経済回廊(EEC)プロジェクトが製造業やハイテク産業への投資を後押ししたためです。これに対し、2018年にはFDI発行数が約1,400件、投資額は約6.8兆バーツ(約2,000億米ドル)に減少し、2019年には約1,300件、投資額約6.5兆バーツ(約1,950億米ドル)と減少傾向が続きました。
2020年には新型コロナウイルスの影響によりFDI発行数が約800件、投資額は約4.5兆バーツ(約1,350億米ドル)に落ち込み、これに対して政府は経済刺激策を実施し観光業や輸出業への支援を強化しました。2021年にはFDI発行数が約1,000件、投資額は約5.5兆バーツ(約1,650億米ドル)に回復し、デジタル化が進む中でバイオテクノロジーやIT分野への投資が注目されました。
その後、2022年にはFDI発行数が約1,200件、投資額は約6.3兆バーツ(約1,900億米ドル)に達し、再生可能エネルギーやデジタル経済への投資が増加しました。2024年にはFDI発行数が2,050件(前年比51%増)、投資額は約8,321億バーツ(前年比25%増)
■ 国別外国投資受入額
1985 年以降の円高に対応し、日本企業が生産拠点を海外に求める動きが本格化しましたが、タイの投資環境が優れていることやタイの投資優遇政策もあり、日本の対タイ投資は著しい伸びを示しました。アジア通貨危機後、タイへの投資額がボトムとなった1999 ~ 2010 年までの12 年間、累積投資額(認可ベース)は3 兆585 億バ
ーツ(8,312 件)に達しています。このうち日本からの投資総額は1兆1,964 億バーツ(3,498 件)で、全体の約39%(件数比42%)と大きな割合を占めています。
■ 業種別外国投資受入額
は1,507 億6,800 万バーツと落ち込みましたが、2015 年には 559 件、投資予定額は1,065 億
4,000 万バーツと盛り返しました。
申請があった外国直接投資案
自動車関連を含む家電、エレクトロニクス等の電機・電子機器が 13.3%、サービスが9.3% と続いています。
【業種別外国投資受入認可額】
(単位:100 万バーツ)
出所:BOI“Foreign Investment From Major Countries (Foreign Equity ≧ 10%)”
件の投資予定額が最も多かったのは日本で304 億6,000 万バーツと日本からの直接投資は依然として大きな割合を占めています。
【国別外国投資受入額と件数】
(単位:100 万バーツ)
※少なくとも10%以上の日本資本による日本の投資計画
出所:BOI
※外国資本比率10%以上の企業が対象
出所:BOI
■ タイへの日本企業の進出数
タイには、日本の在外商工会議所の中で最大規模を誇る「盤谷(バンコク)日本人商工会議所」(以下「バンコク日本人商工会議所」)があり、2025 年5 月には登録社数が1,600 社を超えました。会員登録していない企業は、Jetroの調査によるとタイ商務省事業開発局(DBD)に登録された日系企業のうち、2024 年 7 月 10 日時点で「Operating」状態にある法人 9,146 社とされております。約7,0中国に次ぐアジア第二の日本企業の進出規模があります。
■ 日系企業のタイへの進出企業数の推移
1980年代初頭、タイの製造業への日本企業の進出が始まり、1985年時点で約200社の日本企業が進出していました。主に自動車や電子機器の分野で、製造拠点が設立されることが多く、1990年代には、タイの経済成長が著しく、特に自動車産業が急成長しました。1995年には、日本企業の進出数が約800社に達し、その中にはトヨタやホンダなどの大手自動車メーカーも含まれていました。この時期、タイはASEAN市場への輸出拠点としての地位を確立しました。
2000年代に入ると、日系企業の数は増加を続け、2005年には約1,500社に達しました。製造業からサービス業、金融業、IT業界などに進出が広がり、特に観光業や飲食業にも多くの日本企業が参入しました。
2010年代にはさらに進出が加速し、2015年には約4,000社の日本企業がタイに進出していると報告されました。これにより、タイ国内での雇用創出や技術移転が進み、地域経済への貢献が期待されました。
現在にまで、日系企業の進出数が増加し続け、特に再生可能エネルギーやデジタル経済の分野での新たな投資が注目されています。タイ政府の「タイランド4.0」政策や東部経済回廊(EEC)プロジェクトが、日系企業の進出を一層促進しています。
次に、バンコク日本人商工会議所の会員企業の業種構成を見てみましょう。中国・インド等の国々と同様に、製造業が進出企業の半分程度を占める大きな構成要素となっています。2007 年11 月1 日に発効された日・タイ経済連携協定(JTEPA)により、タイを経由した第三国への貿易・物流の成長が見込まれることから、商業・貿易関係およびその物流を支える運輸などに増加の傾向が見られます。
■ 日系企業のタイへの投資金額
タイでは、外資誘致のための「投資奨励法」と、自国産業の保護・育成のための「外国人事業法」によって投資政策が進められています。このうち、「投資奨励法」に基づく新投資奨励制度が、2 014 年 12 月にタイ投資委員会(BOI)によって発表されました。2015 年において対内直接投資は依然として、日本がBOI認可ベースで第1 位となっており、業種別内訳を見ると、自動車・自動車部品を含む機械・金属加工が投資金額では依然として最大であるものの、前年と比較して大きく減少しているのに対して、サービス・インフラが前年から大きく増加しています。また、日系企業の進出も、金融を含むサービス業の投資が増加しており、これはバンコクを中心とした上位中間層や富裕層を顧客にすることを狙った進出が増加していることが背景にあると思われます。
2014 年12 月3 日付布告にて投資奨励対象業種の見直しを行い、タイ投資委員会(BOI)の投資奨励恩典に申請できる事業活動には7 つの区分があり、2016 年11 月30 日時点で117 業種あります
(P.118 を参照)。
■ 大きな国内マーケットと成長への期待
JBIC 2024年度海外直接投資アンケート(第36回)によると、有望事業展開国としてタイは5位(得票率18.8%)につけています。「現地マーケットの今後の成長性」と「現地マーケットの現状規模」が引き続き有望理由の上位に挙げられています。一方、「労働コストの上昇」「他社との厳しい競争」「中国系EVメーカーとの競合激化」を課題として挙げる企業が増加しています。
【中期的有望事業展開先国(2024年度・JBIC第36回調査)】
このグラフで、タイのマーケットの相対的な規模の大きさが分かるかと思います。国内マーケットはインドネシアに及ばないものの、近隣諸国と比較して十分に大きく、また政治情勢が安定し始めたことで、観光産業が活況となり、投資、輸出などの指数が堅調に推移していることが分かります。
日本企業の進出は製造業が中心でしたが、近年ではサービス業の参入も増えています。ユニクロを展開するファーストリテイリング社は 2011 年9 月に第1 号店をバンコクに出店、2015 年6 月時点で計23
GDP成長率は、2 012 年で前年比7.2% 増(タイ中央銀行調べ)と、 2011 年の前年比0.8% 増から大きく改善されましたが、2016 年は前年比3.2% 増と堅実な成長率となっています。
また、タイと近隣諸国の国内総生産(名目GDP/ 単位億USドル)を比較したグラフで、現状のタイのマーケット規模を確認することができます。
も、日本食を好む富裕層をターゲットとしてタイへのFC展開を計画しており、5 年で10 店舗まで拡大を図っています。
このように、タイ国内の成長を背景に、マーケットを狙った進出や高い付加価値の提供を目的とする進出など、製造業を中心としながらもサービス産業を含めた多様な進出が期待されています。
また、他の近隣諸国と異なり、タイの高学歴化が進んでいます。中等教育への就学率の向上といった数字でも、労働力の質的向上が国をあげて図られているのが分かります。
来鉄道複線化や都市鉄道・道路整備等、直近で優先度の高いものに絞り込む動きがみられます。
[2022 年までに約1兆 8,000 億バーツの投資]
タイ政府は2022 年までに約1兆8,000 億バーツ(約5兆8,000億円)を投資し、都市間鉄道や高速道路などのインフラを整備すると宣言しています。
出所:Statistics of population: The statistics of population by age, Bureau of Registration Administration, Department of Local Administration
その上、研修を容易に施すことができ、任せられた任務をきちんと遂行します。また、一般的なタイ人の良さといわれている常に笑顔でサービスすることや、友好的であるという国民性と親日の側面がさらに評価を高めているようです。
■ 充実したインフラ
内各地に配置された時代に、国内の道路整備が急ピッチに進められ、全国で6.7 万㎞以上の道路が整備されました。アジアハイウェイ(Asian Highway Network)の
導入や政府のアジアの貿易拠点化
1990 年代後半以降のタイでは、まず1997 年のアジア通貨危機によって問題が顕在化した金融・財政システムの改革と安定化を図ることが最重要課題となり、輸出産業の競争力強化・高付加価値化を進めることが重要な側面の1 つとなりました。また、現地に進出している日系企業の側でもアジア通貨危機を受けた事業構造の再編が進む中、タイでのインフラ整備や人材の育成が進展しました。
日本も高速鉄道・都市鉄道整備をはじめとする各種案件の売り込みを実施しています。
戦略(タイを東南アジアの交通ハブとして発展させる政策)に基づくインフラ投資により、高速道路の整備も進んでいるため、良好な道路環境が作られています。
しかし、バンコク市内の道路交通は、世界一といわれるほど渋滞が激しい状況であり、高架鉄道
インラック政権は2013 年、7 年間の大規模インフラ計画のため GDPの約20%に匹敵する総額約2 兆バーツの予算案策定を進め、借り入れを行うなど大胆な政策で次々と法案を可決させました。2014年に発足した国家平和秩序評議会(NCPO)による軍政の下では、在
(BTSやスカイトレインと呼ばれる)や地下鉄(MRT)の運行によっても解決されておらず、交通網がマヒすることが少なくありません。将来、近隣諸国の整備が進めば道路輸送の一層の発展が期待できますが、バンコク♛都圏の渋滞解消が課題となっています。
[ 空港および港湾]
空路は、7 カ所の国際空港に加えて商業用空港が28 カ所あります。タイはバンコク新国際空港(スワンナプーム空港)が地域の航空網のハブとなっています。2035 年を目標とし、空港周辺への土地利用計画を含めたスワンナプーム臨空都市の開発計画が作成されており、スワンナプーム国際空港とバンコクを繋ぐスカイトレインなどの鉄道が
【タイの主要空港】
【タイの主要鉄道】
チェンマイ
ノーンカーイ
東北線
北線
ウボンラチャターニー
すでに整備され、東部臨海工業地域、中央地域の北部、西部を結ぶ交通網の拡充も計画されています。
海運では、バンコク港(クロントィー港)、レムチャバン港、マプタプット工業港などの港を有しています。バンコク港は、50 年以上、タイの主要港としての役割を果たしており、年間取扱量1万2,000 総ト
ン数超を誇る国際港湾です。ラオス、カンボジア、ミャンマー、ベト
ナム、中国にアクセス可能な水上輸送では、これらの整ったインフラ網によって、効率良くロジスティックスや配送を行うことができます。
[ 鉄道]
タイの鉄道は、1889 年に開業し、第2 次世界大戦後の1951 年にタイ国有鉄道として統合されましたが、道路ほど整備は進んでいません。タイ国鉄の主要路線は、おおまかに①北線、②東北線、③東線、④南線の4 線に分けられ、営業路線は延べ約4,000 ㎞ですが、大半が単線であり、物流インフラとしてはあまり期待できない状況となっています。
[ 電力]
他の新興国の共通の悩みである電力不足もタイではほとんど問題になることはありません。タイ発電公社(EGAT)が、東日本大震災の影響で電力の供給能力が低下している東京電力に、発電機2 基を周辺の設備も含めて丸ごと無償で貸し出す決定をしたことからも、自国の安定的な電力供給をうかがい知ることができます。
場所によっては月1 ~ 2 回の瞬間停電はあるものの、復旧は早く、タイの電力事情は安定しています。瞬間停電は雨季(6 ~ 10 月)に多くなる傾向にありますが、日系企業へのヒアリングによると、おおむね数秒、長くても1 時間以内には回復しているようです。熱帯性気候のもとにあるタイでは、例年、暑い季節に当る3 ~ 5 月にかけて最大電力が発生しますが、需給調整のための計画停電等が行われることもなくなっています。
タイの将来の電力計画ですが、タイ政府は、東南アジアで最も早く新エネルギーに関する政府支援制度を導入するなど、2022 年までに全エネルギーの20% を新エネルギーとすることを公表しています。
それを受けて、2012 年、三菱商事が世界最大級となる発電容量 73MWの太陽光発電所をタイのロッブリ県に開発し、今後25 年間タイの発電公社EGATに売電されます。
■ グローバル生産拠点としてのタイ
JBIC 2024年度海外直接投資アンケート(第36回)によると、タイは有望事業展開先国の第5位(得票率18.8%)に位置しています。タイは日本企業の進出歴史が長く、ASEANの物流ハブとして進出しやすい投資環境を背景に、中堅・中小企業が「強化・拡大する国」として選ぶ割合が大企業を上回っています。「第三国輸出拠点として」「組立メーカーへの供給拠点として」は引き続き安定的なタイの魅力として認識されています。日系企業、地場産業を合わせて高度な産業集積が発達しているため、原材料、部品調達が容易であること、製造拠点のネックになりやすいインフラ環境が整っていることなどが大きな要因となり、また外資優遇政策や、インドと先行してFTAを結ぶなど、生産拠点を置くのに適した環境が整えられているといえます。
近年、日本企業のタイの捉え方が変化してきています。その顕著な例が2010 年にみられました。日産自動車が、日本国内市場向けの小型車「マーチ」をタイで生産すると決定しました。これは、日本企業が自国市場に逆輸出する日本車を国外で生産する初めてのケースです。
このように、日本メーカーは、タイのことを、東南アジアの5 億 5,000 万人の人々に製品を供給する前線基地としてだけでなく、日本のほか、中国やインドといった巨大な成長市場向けに、製品を輸出する出発拠点としてみなすようになってきています。
[ 輸出拠点として最適な立地と充実したインフラ]
タイは、東南アジアの中心、インドシナ半島のほぼ中央(北緯5 ~ 21 度・東経97 ~ 106 度)に位置し、西と北にミャンマー、北東にラオス、東にカンボジア、南にマレーシアと国境を接していることにより、中国とインドの2 カ国への玄関口にもなっています。未発達なインフラ、労働力の質、税制など不透明な制度が原因で、インドに新たな製造拠点を築くことにまだ躊躇している日本メーカーはまだ多くありますが、タイはインドへの入り口として最適な拠点であると位置付けられています。
[ ASEAN 自由貿易地域(AFTA)の効果]
AFTAとは、“ASEAN Free Trade Area”の略で、日本語では
「ASEAN自由貿易地域」とも呼ばれ、1993 年に発足したASEAN
(東南アジア諸国連合)の自由貿易協定のことをいいます。加盟国人口の合計が5 億人を超え、その将来的な方向性は、EU(欧州連合)やNAFTA(北米自由貿易協定)に相当する自由経済(自由貿易)地域を作るという構想になっています。
AFTAでは、ASEAN域内で生産されたすべての産品(国防関連品目や文化財を除く)に係る関税障壁や非関税障壁を取り除くことによって、域内の貿易の自由化と活性化を図り、また域外からの直接投資と域内投資を促進し、そして域内産業の国際競争力を強化しようとしています。
2010 年1 月1 日より、ASEANの原加盟国間の関税がほぼすべての品目において撤廃されました。タイ商務省がまとめた2016 年のタイの輸出額は、前年比0.5%増の2,153 億3,000 万USドル、輸入は3.9% 減の1,946 億7,000 万USドルでした。貿易黒字は206 億 6,000 万USドル、国・地域別の輸出額は日本向けが205 億6,000